沈黙のブレスト「ブレインライティング法」のご紹介

特許発明に限らず、アイデア創出の場面ではブレインストーミングを実施されていると思います。アメリカの大手広告代理店の創立者である、アレックス F.オズボーンが創案したブレインストーミング法は、オズボーンの死後も、様々な国の様々な機関で改変が検討され、いくつかの独立した手法として確立されています。また、オズボーンは「オズボーンのチェックリスト」という、アイデアをひねり出す切り口を自問するための質問項目リストも作り出しています。

まずは、代表的なアイデア創出技法を以下の表にまとめました。

ベーシックな「ブレインストーミング法」に加えて、「カードBS法」「ゴードン法」「ブレインライティング法」「MBS法」などの、ブレインストーミング法から派生した各手法と、問題解決技法の一つである「ワークデザイン法」について比較検討しました。各手法について、方法の内容とメリット、デメリットについいてまとめています。

それぞれの手法には、それぞれの特徴がありますので、アイデア創出の目的に合わせて最適な手法を選択すればよいかと思います。

ブレインストーミングの成功要因の一つに、「質より量」というものがあります。アイデアの質を問う前に、まずは、少しでも多くのアイデアを創出しようという考え方です。
短時間のうちに、黙々と、多くのアイデアを強制的に創出するためのブレインストーミング手法として「ブレインライティング法」があります。

ブレインライティング法はドイツで発展したブレインストーミング手法で、「635法」とか、「無言のブレインストーミング」「沈黙のブレインストーミング」とも呼ばれています。
「635法」の635とは、
・「6」人の参加者が
・各自「3」つのアイデアを
・「5」分以内で考える
という過程を繰り返すところから付けられています。

次の図は、ブレインライティング法で使うシートと作業の様子の絵です。

(出所:日科技連出版社「創造力辞典」)

参加者は6人が理想的ですが、6人でなければならないというわけではありません。各人の目の前にブレインライティングシートを置きます。最初は1行目に3つのアイデアを5分以内に記入します。5分が経過したら、シートを左手の人に回します。自分の所には、右手の人からシートが送られてくるので、送られてきたシートの2行目には、1行目に書かれたアイデアを読んで連想されるアイデアを記入します。

基本的には上の行に書かれたアイデアに触発されてアイデアを記入するのですが、触発されたアイデアが浮かばなかった時には、新たなアイデアを記入します。
この作業を6ラウンド行えば、シートは一巡し、3案×6行×6枚=108個のアイデアを強制的に出すことができるのです。

ブレインストーミング法は、どうしても声の大きい人、発言頻度が高い人、に引きずられる傾向にありますが、ブレインライティング法は、発言の少ない人、おとなしい人からも平等にアイデアを引き出すことができます。

上の図は「ダブルクリップ」のブレインライティング実施の際に記入されたシートです。ダブルクリップの操作性を改良するアイデアが、たくさん創出されています。

今回は、アイデア創出に役立つブレインストーミング手法である「ブレインライティング法」を紹介しました。
特許ポートフォリオを構築するために、技術系統分布図形式のパテントマップを作成してアイデア創出することをお勧めしていますが、アイデア創出の様々な場面で、いろいろなブレインストーミング手法も活用できるといいですね。

以上