失敗から学ぶ ③:概念が重複していて絞り込めていない

長年の特許調査実務経験の中で、「ヒヤリ」としたり、「やっちまった」という経験を何回かしながら、「2度と失敗はしない」との思いで特許調査の品質を高めてきました。恥ずかしくも、失敗事例を紹介しますので、同じ失敗を未然に防止してください。

調査テーマ

「非容積型のポンプのポンプを駆動させるモータ」について調査したい。


以下のキーワード検索を行った。

非容積型ポンプ × ( ポンプ × モータ )

「無意味な、かけ合せ」の事例。

「非容積ポンプ」に「ポンプ」をかけ合わせても、絞り込みにならない。
駆動源がモータではないが、冷却ファンモータを備えたポンプがノイズとして含まれる。
「非容積型のポンプ」とか「非容積タイプのポンプ」が漏れる。


調査テーマからキーワードを切り出して、そのまま検索式に表すと上記のようになると思います。検索の意図としては、非容積型ポンプに関する

特許のうち、ポンプ駆動モータに関するものに絞り込みたいので、「非容積型ポンプ」に対して「ポンプ」と「モータ」を掛け合わせたということだと思います。

この場合、「ポンプ」を指定してもしなくても、ヒット件数に変わりはありません。すなわち、「非容積型ポンプ×モータ」と指定した検索を行ったに過ぎないのです。

つまり、「非容積型ポンプ」と指定してヒットするものにはすべてに「ポンプ」というキーワードは部分一致的に含まれているので、「ポンプ」をかけ合わせても絞り込みにはならず、無意味なかけ合わせを行っていることになるのです。このテーマの場合は「ポンプ」ではなく「駆動」というキーワードを使えば、冷却ファン用のモータに関するノイズも除外できるかもしれません

検索式を立案する際には、かけ合わせる概念に重複が無いのかを確認する必要があります。キーワード指定の検索のみならず、特許分類を指定する検索の場合にも、特許分類の内容に含まれる概念と重複しないように絞り込みのキーワードを選定する必要があります。