ビジネスモデル特許からIoTに至るビジネス関連発明の特許分類について

IoT(Internet of Things)関連技術の国際特許分類(IPC)である「G16Y」が、日本特許分類(FI)にも新設されました。G16YのIPCは2020年1月に新たに発効されましたが、FIについては2020年4月に新設され付与が開始されたとのことです。

現時点(2020年6月)で検索してみると、IPCとしてG16Yが付与された公報は1件(特許第6705886号)のみがヒットしましたが、FIとしてG16Yが付与されている特許を検索すると3,000件近くがヒットしました。

あまりにもヒット件数が異なるので違和感を覚えますが、これは、2016年に新設されて付与が始まった、【IoT広域ファセット分類の「ZIT」】が付与された案件については、「G16Y10:業種ごとに細分化された分類」に機械的に付与し直してあるためです。FIにてG16Yの運用を始めたことにより、以前のIoT広域ファセット分類の「ZIT」の付与は停止されるとのことです。

IoTに関連する特許出願としては、1999年頃から数年間にわたりブーム的に多くの出願が行われてきたビジネスモデル特許(ビジネス関連発明)があると思います。

ここでは、G16Yに加えて、ビジネス関連発明の特許分類(FIとFターム)について紹介します。

ビジネス関連発明のFI

現行分類 G06Q:管理目的,商用目的,金融目的,経営目的,監督目的または予測目的に特に適合したデータ処理システムまたは方法;他に分類されない,管理目的,商用目的,金融目的,経営目的,監督目的または予測目的に特に適合したシステムまたは方法
旧分類G06F17/60:管理目的,業務目的,経営目的,監督目的または予測目的のデジタル計算またはデ-タ処理の装置または方法
G06F15/21:管理または業務用のための計算部分の設計または構成

ビジネス関連発明のFターム

現行分類5L049:管理・経営・業務システム,電子商取引(カテゴリ:電子商取引)
5L055:金融・保険関連業務,支払・決済(カテゴリ:電子商取引)
旧分類5B049:特定用途計算機

上記に示した分類コードの細分類や周辺の分類を確認して、調査対象となるビジネスに関連する特許分類を特定します。

ちなみに、「チケットや座席の予約システム」について調査する時には、以下の新旧のFIとFタームを特定して指定する必要があります。旧分類を指定しないと、関連する古い特許公報が抽出できないかもしれません。

FI指定検索

G06Q10/02:予約(例.切符,サービスあるいはイベント)のためのシステムまたは方法4,145件
G06F17/60,146A:興行に関するもの(チケット予約等)759件
G06F15/26:座席予約のためのデータ処理装置558件
[G06Q10/02/FI]+[G06F17/60,146@A/FI]+[G06F15/26/FI]4,146件

Fターム指定検索

5L049BB64:電子商取引による予約2,838件
5B049CC06:予約(電話等によるものを含む)1,102件
[5L049BB64/FT+5B049CC06/FT]3,362件

特許分類を使った検索を行うことで、網羅性を高めながら、ノイズが増えるのを抑えることができますが、今回ご紹介したとおり、新たな分類が新設されたり、改廃により旧来の分類コードが、新しい分類コードに置き換わることがあります。

特許分類を活用した検索を行う際には、分類の新設、改廃に注意を払う必要がありますし、確認された新設や改廃に合わせて、SDI検索の検索式についても定期的に見直す必要があります。