特許分類の上位化指定のススメ

特許検索を多面的にアプローチする一つのテクニックとして『特許分類の上位化指定』があります。わかりやすく言うと『特定性が高いドンズバのFI分類を見つけたら、そのドンズバのFIを指定した検索ラインに加えて、上位のIPC分類を指定した検索ラインを加えましょう』ということです。

元々は、検索漏れを防ぐ多面的なテクニックの一つとして提唱していたのですが、2022年から始まる公報システム刷新への対策としても有効であると思いましたので紹介します。

それでは、具体的な例を示しながら説明したいと思います。「ウッドクラブのヘッド」に関する特許調査の事例です。

ウッドクラブのヘッドに関するドンズバのFIが見つかりました。

検索ライン① FI=A63B53/04A[ウッドクラブヘッド]

ここで、ドンズバの特許分類が見つかったから、それで良し、と終わらせるのではなくて、ドンズバのFI分類の上位のIPC分類を指定した検索アプローチも加えるのです。しかし、上位の分類になるとウッドクラブに限らず、アイアンクラブも、パタークラブも含まれてしまうので、「ウッド」というキーワードを掛け合わせることで、ウッドクラブ関連の特許に限定します。

検索ライン② IPC=A63B53/04[ゴルフクラブのヘッド] AND 要約と請求項に「ウッド」

このように、「検索ライン①」の検索に「検索ライン②」を加えて、検索式を多面的にすることで、検索モレを少なくする効果があると思います。

実際に、「特開2013-063341」は、ウッドクラブヘッドに関する特許ですが、「検索ライン①」ではヒットせずに「検索ライン②」でヒットします。

そして、2022年から始まる公報システム刷新により、再公表公報が廃止されることになり、日本語で公開された国際公開公報を検索することが必要になります。再公表公報は日本の公開特許公報と同様にFIとFタームでの検索ができたのですが、国際公開公報にはFIとFタームは付与されていないので、FIとFタームで検索することはできません。

そのため、検索式の立案を行う際に、『特許分類の上位化指定』を行うことで、2022年以降に検索を行う必要がある国際公開公報の検索にも対応することができます。

具体的には、「WO2014/061560」は、日本語で公開された国際公開公報ですが、FIを指定した「検索ライン①」ではヒットすることは無く、IPCを指定した「検索ライン②」ではヒットします。

ちなみにJ-PlatPatで「ウッドクラブのヘッド」の特許検索を行う場合には、以下の画面のように、「国内文献の全て」と「外国文献のWIPO(WO)」を選択し、論理式入力の画面で下記の検索論理式を入力すれば、国内の特許・実用新案と、日本語で公開された国際公開公報をまとめて検索することができます。

J-PlatPatの検索論理式
[A63B53/04@A/FI]+[A63B53/04/IP]*([ウッド/AB]+[ウッド/CL])

日頃から、検索式の立案検討を行う際に、検索式の多面的アプローチの一つとして、特許分類の上位化指定の展開を加えるクセをつけておくことで、検索モレの防止と、国際公開公報検索への対応がおのずと行われるようになるのではないでしょうか?