関連する特許分類の探索に役立つノウハウ

特許調査を実施する際に、調査対象テーマの把握が終わると、予備検索を行いながら、関連する特許分類を特定する作業から始めると思います。予備検索で把握した適合公報に付与されているFIやFタームの分類コードの内容を「特許・実用新案分類照会(PMGS)」を参照して、検索に用いるのか、それとも、検索式へ採用を見送るのかを判断していきます。
特許分類を選定する際には、関連しそうな特許分類を、漏れなく、洗いざらい抽出し選定することを心がけて作業を進めますが、どこまで、いつまで選定作業を進めれば良いのか、キリが無いなと悩みながら検討を行っています。

以前に取り組んだ、『宅配便に使われる多層式の配送伝票ラベル』の特許調査にて、特許分類を選定した事例を紹介します。
調査対象は、下図のような、荷物に貼り付けられる配送伝票ラベルです。配送伝票ラベルは、複数枚の伝票が複写式に重ねられており、一番下層には荷物に貼り付けるための粘着層を有しています。

特許分類の技術体系項目は、その技術が適用される「物」で体系づけされる部分と、その技術の「機能的な特徴」で体系付けられる部分があります。
今回の調査テーマにおいて、「機能的な特徴は、粘着層を有する複写式のラベル」であり、「適用物品としては、荷物の配送伝票」であります。予備検索で把握した適合公報には、複写式のラベルであるという観点から「G09F3/00D:重合ラベル」というFIが付与されていました。

調査テーマを把握した段階で、調査対象の「機能」と「物」のそれぞれについて、思い浮かべることができ、それぞれに関連する特許分類を探索できればいいのですが、思い浮かばなかったときは検討不足になってしまうのでしょうか?

関連する特許分類を着実に把握するためには、FIの『ハンドブック』を参照することをお勧めします。上図の赤枠で示した「ハンドブック」のボタンを押すと、別ウインドウで『FIハンドブック表示』のページが表示されます。

「G09F3/00D:重合ラベル」の関連分野として『B42D11/(伝票)』という特許分類が表示されています。「ハンドブック」の「関連分野」を参照することで、適用物品としての『配送伝票』に関連する特許分類にたどり着くことができます。
「B42D11/(伝票)」のFI分類の内訳を参照すれば、「B42D11/00E:配送伝票、送り状」にたどり着くことができるのです。

また、「ハンドブック」を参照しなくても、FI分類表の説明文の末尾に括弧書きで参照に関する情報が記載されているケースもあります。
「G09F3/04」の説明文を見ると、「ラベル自体の材料で取付けまたは固着されるもの,例.熱着によるもの」という記載の後に、「(接着層によるものG09F3/10)」という参照情報が記載されています。

人間の思いつきに頼るやり方では、人によって思いついたり、思いつかなかったりしますし、同じ人であっても、その時の心の余裕に応じて思いついたり、思いつかなかったりすることがあり得るかと思います。一方、FIハンドブックを参照して「関連分野に記載されている分類を必ず確認する」というルールを決めておけば、誰もが関連分野の特許分類を確認することができ、「B42D11/00E:配送伝票、送り状」にたどり着く確率が高まります。改めて、FIハンドブックの重要性、必要性を実感する事例でありました。