その6 課題・ニーズ模索型の研究開発テーマ探索

特許調査の結果を、見やすく、分かりやすく、一目で把握しやすくするツールとしてパテントマップがあります。特許調査により抽出された関連特許群の全体像を把握するとともに、個々の特許の中身を示して「見える化」するために、パテントマップを作成し、さらに、作成したパテントマップを活用して、知財活動や研究開発活動に生かしていくことは事業の発展に役立ちます。

この講座では、抽出した特許のポイントを要約するとともに、技術分類を設定しながら層別体系化した関連特許一覧表の作成から始まり、全体像を把握するための技術系統分布図や、技術のトレンドを把握するための時系列流れ図の作成するプロセスについて解説します。さらに、パテントマップを活用して開発テーマを模索したり、特許ポートフォリオ(特許網)を構築する事例についても紹介します。

6.課題・ニーズ模索型の研究開発テーマ探索

特許情報を活用した開発テーマ創出のアプローチ方法の、もう一つのパターンが「課題・ニーズ模索型」です

「課題・ニーズ模索型」のテーマ探索は、自社製品が有する技術課題、ニーズを洗い出し、将来的に重要となる課題ニーズを予測して、製品開発テーマの決定を行います。
1件1件の特許には、それぞれ発明の課題が記載されています。図12は、自動計測機に関する特許公報に記載されていた課題をラベルアップしたものです。

図12 課題・ニーズ模索型のアイデア創出事例

過去の特許情報を調べるだけでも、「高速化」「省エネ」「精度向上」など、様々な課題が浮かび上がってきます。このように、自動計測機関連の特許公報から得られる、既に知られている課題に加えて、客先から得られる最新のニーズや、最先端技術を導入したときに生まれる課題を更に洗い出し、ラベルを追加していきます。
何もない、真っ白な状態から、1つ1つ課題を自らが考えて抽出するためには、その製品に関する知識を豊富に有することを要求され、ラベルアップ作業自体に大変膨大な時間を要しますが、特許情報を活用することで、容易に多くの課題のキーワードをラベルアップすることができます。

図13 課題・ニーズ模索型のアイデア創出事例(KJ法)

ラベルアップを行ったのちには、図13に示したように、ラベルアップされた課題をKJ法によりグルーピングします。さらに、グルーピングされた課題群のタイトルを付けると、そのタイトルが開発テーマとなります。
このように、特許の課題情報を活用して、多くの開発テーマを抽出することができます。開発テーマを洗いざらい抽出した後には、抽出された開発テーマから、着手すべき開発テーマを選択する必要があります。

図14 評価マトリックス法による開発テーマの選択事例

図14には、各評価マトリックス法を用いて開発テーマを選択した事例を紹介しています。抽出された開発テーマについて、「市場シェア向上に寄与するのか?」「技術的な重要度」「オペレータの利便性」「時代背景にマッチしているか」といった4つの項目について、「S:大変良好(10点)」「A:良好(6点)」「B:普通(3点)」「C:無い(1点)」の評価を行い、得点を集計します。合計得点が高い開発テーマほど、取り組むべき優先度が高いということになります。
このようにして、選択された開発テーマこそが、新製品や次世代改良製品に採用すべき製品コンセプトとなるのです。

今回の特許検索講座の解説は以上です。次回は「その7 特許ポートフォリオを構築する」を解説していきます。

以上