その2 技術層別して技術体系化項目を検討する

特許調査の結果を、見やすく、分かりやすく、一目で把握しやすくするツールとしてパテントマップがあります。特許調査により抽出された関連特許群の全体像を把握するとともに、個々の特許の中身を示して「見える化」するために、パテントマップを作成し、さらに、作成したパテントマップを活用して、知財活動や研究開発活動に生かしていくことは事業の発展に役立ちます。

この講座では、抽出した特許のポイントを要約するとともに、技術分類を設定しながら層別体系化した関連特許一覧表の作成から始まり、全体像を把握するための技術系統分布図や、技術のトレンドを把握するための時系列流れ図の作成するプロセスについて解説します。さらに、パテントマップを活用して開発テーマを模索したり、特許ポートフォリオ(特許網)を構築する事例についても紹介します。

2.技術層別して体系化項目を検討する

関連特許の一覧表には、独自に作成して追記する項目として、「課題分類」や「部位分類」がありましたが、これらの技術分類項目を体系化して構築する方法を説明します。具体的には『KJ法(*1)』を活用します。

KJ法は、データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめて、図解したりする手法です。まずは、1件1件の特許を、1枚ごとにカード化していく作業から始めます。
カード化にあたり、Excelで作成した一覧表のデータを編集してカード様式のデータを作成することができます。図2には、ダブルクリップの関する特許について、代表的な10件についてカード化した例を示しています。

(*1)「KJ法」は株式会社川喜田研究所の登録商標です。

図2 カード化するKJ法

この例では、各特許の「出願番号」「出願人」「課題」「解決手段」「代表図」を1枚のカードにまとめて記載しています。エクセルで作成したカード様式の帳票を、1枚のカード毎に画像データとしてパワーポイントやワードの文書に貼り付けたものです。

こうして作成したカードを、ある観点でグルーピングしては壊し、また異なる観点でグルーピングしては壊す、という作業を繰り返して、しっくりするグループにまとめ上げます。

今回はまず、『部位分類』を構築するために、『構造』に着目してグルーピングを行いました。図3に示したように、ダブルクリップを構成する部品や部位に着目して、「レバー部」「板バネ片」「板バネ背部」の3つのグループに層別してまとめました。

図3 構造に着目したグルーピング

さらに、『課題分類』を構築するために、課題を解決するための『機能』に着目してグルーピングを行いました。図4に示したように、ダブルクリップに求められる機能として、「挟持特性」「操作性」「収納コンパクト」「軽量化」「機能付加」の5つのグループに層別してまとめました。

図4 機能(課題)に着目したグルーピング

KJ法を活用してグルーピング(層別)し、層別されたグループの総称となるタイトルを付けると、付けたタイトルが分類項目になります。このようにして構築される『課題分類』と『部位分類』の分類項目を一覧表の分類の列に追記することで、図1の関連特許一覧表が完成します。

今回はモデル事例として10件の特許に限定したので、一階層の分類体系を構築しただけですが、実際の特許調査のまとめになると、数百件の特許を対象に分類体系を構築することになります。そうすると、グルーピングされた複数の小グループをまとめた中グループが形成され、さらに、中グループをまとめた大グループが形成されるというように、階層が形成されるようになると思います。そのため、分類体系化を行う場合には「大分類」「中分類」「小分類」のように分類項目を階層化すると全体を俯瞰しやすくなると思います。
さらに、層別の観点についても「課題」と「部位」にとどまらず、調査テーマに合わせて色々な観点の分類体系を構築すると関連特許一覧表の活用度がアップすると思います。

参考までに、廃棄物のリサイクル技術に関連する特許の体系化まとめを行った際には、図5に示したような体系化項目を設定して抽出した関連特許群を体系化しました。

図5 廃棄物リサイクル技術の層別体系化項目の例

「課題分類」「技術内容の分類」に加えて、「リサイクル技術が適用される用途・分野の分類」と「廃棄物の素材の分類」についても層別体系化しました。

今回の特許検索講座の解説は以上です。次回は「その3 技術系統分布図について」を解説していきます。

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